【社労士試験合格へ!プラス1点のコツ】有期労働契約に関する規定を科目横断で整理しよう!
3度目の社労士試験で合格を目指す、フルタイムママ受験生のMelsenです🐇🐇
この記事は、労働関連法で登場する有期労働契約について、科目横断的にまとめました。
「〇回以上更新」「〇年を超える場合」など、ややこしい規定がポツポツ存在します。
ポイントを整理して覚えていきましょう!
有期労働契約とは
期間の定めのある労働契約を、「有期労働契約」と呼びます。
実務上では「有期雇用契約」と呼ぶこともあるかと思います。
期間の定めがある契約は、その労働契約期間が長すぎると労働者の自由を不当に拘束する恐れがあります。
一方で、「短期間の契約を何度も更新して実態は無期雇用と同じ。だけどいつ契約を切られるかわかない」とうい状態では、労働者の生活の安定を脅かすことになりかねません。
そこで労働保険各法では、有期雇用契約に関する制限や、意図せず契約更新に至らなかった労働者を保護する規定などが設けられています。
科目別に確認してみましょう。
労働基準法
労働基準法では、以下のような規定が設けられています。
- 契約期間の上限
- 労働者からの契約解除
- 締結時・満了時の基準
- 条件の明示
ひとつずつ確認してみましょう。
契約期間の上限
労働基準法では、有期労働契約の期間の上限を下記の通り定めています。
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。
(労働基準法 第十四条)
ここに書かれているポイントは、下記3つです。
- 有期労働契約の上限は原則3年。
- ただし一定の事業の完了に必要な期間を定めるものは除く。
- 例外的に上限が5年になる場合がある。
例外的に上限が5年になるのは、下記2つの場合です。
- 専門的知識等を有する労働者の労働契約(例:一級建築士など)
- 満60歳以上の労働者の労働契約
「上限は原則3年、例外5年!」
まずはここをしっかりおさえましょう!
労働者からの契約解除
無期労働契約の場合、労働者には解約の自由があります。
(民法の規定が適用され、2週間前までに申し出れば解約OK)
一方で有期労働契約は、「契約された期間働きますよ」という契約なので、その期間中は自由に契約解除ができません。
でも現実的には、例えば3年契約をずっと守り切る、ということが困難になる場合もありますよね。
そこで労働基準法法附則では、有期労働契約の契約解除について定めています。
期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
(労働基準法附則第百三十七条)
つまり1年を超える労働契約の場合、1年を経過したあとは契約解除可能、としています。
「1年超えたら解約可能!」
しっかりおさえましょう!
締結時・満了時の基準
短期間の契約更新を連続で締結していて、あるとき急にさようなら、では困ってしまいますよね。
そこで、一定の回数・期間を超えて継続勤務した場合、使用者はしかるべき措置をとりましょう、という定めがあります。
具体的には、下記の2つのパターンです。
【パターン1:雇い止めの予告・理由の明示】
- 労働契約を3回以上更新した
- 1年を超えて継続して勤務した
上記いずれかに当てはまる場合、
- 契約更新をしないこととするときは、少なくとも満了の30日前に予告します
- 更新しない理由を証明してほしいときは、証明書を発行します
【パターン2:契約期間の配慮】
- 労働契約を1回以上更新した
- 1年を超えて継続して勤務した
上記いずれにも該当する場合、
- 契約更新するときは、できるだけ労働者の希望に応じて長い期間になるように努めます
また上記2つのパターンにあてはまらなかったとしても、労働契約が更新されなかった場合、使用者には更新しなかった理由の証明書を交付する義務があります。(ただし労働者が請求した場合に限ります。)
「3回or1年超で予告、1回以上and1年超で配慮!」
ややこしいですね😰
条件の明示
有期労働契約に限らず、使用者は労働者にその労働条件を明示する義務があります。
みなさんも就職する際、「雇用契約書」にサインしますよね。
労働契約の期間(無期なのか有期なのか、有期の場合は具体的な期間)は、絶対的明示事項とされ、書面などで交付する必要があります。
有期労働契約の場合、上記に加えて明示が必須になる事項があります。それは、
- 労働契約を更新する場合の基準
です。
個人的は、とっても親切な規定だなと思います。
基準がわかっていれば、それに合致するようにがんばろう!と思えますよね。
なおこの更新基準について、はじめから更新の可能性がない場合は記載する必要がありません。(当然ですね。)
「更新ありなら理由を明示!」
親切な規定、おぼえておきましょう。
雇用保険法
続いて雇用保険法です。
あれ?雇用保険法で有期労働契約についての記載なんてあったっけ?と思うかもしれません。
あります!
特定受給資格者の基準です。
特定受給資格者
離職して基本手当(いわゆる「失業手当」)の支給を受ける場合、自己都合でやめた人よりもちょっと優遇される人たちがいます。
そんな人たちのうちの1つが、「特定受給資格者」です。
特定受給資格者にも種類があるのですが、有期労働契約者に関するものがあります。
下記いずれかに該当する有期労働契約者は、特定受給資格者となり得ます。
- 3年以上勤務したのに、契約更新されなかった場合
- 契約更新すると明示されたのに、更新されなかった場合
いずれも、普通に退職した人よりも保護する必要がありますよね。
「3年以上で特定受給!」
労働基準法 雇い止めの予告の、「3回以上更新または1年超えて継続勤務」と混同しないようにしましょう。
労働契約法
「労働管理その他の労働に関する一般常識」では、「労働契約法」「パートタイム・有期雇用労働法」において有期労働契約者が登場します。
ただし、この記事では「パートタイム・有期雇用労働法」に関する記述は割愛します。
法律名の通り有期雇用労働者に対する記載だらけで掲載しきれないから、というのはもちろんですが、他の法律と混同しやすい数字関連の規定が少ないからです。
ということで、労働契約法についてみてみましょう。
2つの規定に焦点を当てます。
- 契約期間中の解雇等
- 期間の定めのない労働契約への転換
契約期間中の解雇等
契約法では、次の2点について義務・配慮義務が規定されています。
- 契約期間中は原則解雇してはいけない(やむを得ない事由がある場合を除く)
- 必要以上に短い期間を定めて、反復更新しないように配慮しなければならない
1について。
人事で実務をしている方にはおなじみかもしれません。
有期雇用契約中は、よっぽどのことがない限り解雇できません。無期雇用契約の労働者を解雇するよりも、はるかにハードルが高いのです。
「有期労働契約中は原則解雇不可!」
労働紛争につながりやすい点なので、実務の上でも覚えておきたいことですね。
期間の定めのない労働契約への転換
こちらも、労働紛争につながりやすく、テレビなどでよく取り上げられているテーマです。
- 2以上の有期労働契約を通算して5年超える労働者が、締結中の有期労働契約中に次回の契約で無期雇用を申し込んだ場合、使用者は承諾したものとみなす。
ただし、定年(60歳以上のものに限る)に達した後継続雇用されるような場合、無期転換申込権は発生しません。
そうでないと、定年の意味が薄れてしまいますね。
「5年超えたら無期になれる!」
実務でも注意が必要なポイントです。
まとめ
有期労働契約に関する記述を、科目を横断して整理しました。
特に数字(3回以上、1年を超えて 等)が出てくる場合は、記憶を混同しないように注意が必要です。
また、2つの条件が並べられているときは、「かつ」なのか「または」なのかも、あわせてしっかり覚えましょう。
今回のポイントを、再度確認してみてください。
- 上限は原則3年、例外5年!
- 1年超えたら解約可能!
- 3回or1年超で予告、1回以上and1年超で配慮!
- 更新ありなら理由を明示!
- 3年以上で特定受給!
- 有期労働契約中は原則解雇不可!
- 5年超えたら無期になれる!
横断学習 その他のポイント
最後に、その他の横断学習のポイント記事をご紹介します。
いずれも過去の社労士本試験で問われた論点を、派生・整理したものです。
まだご覧になっていない方はぜひお読みくださいね。